
9/19からAirPods Pro 3が発売された。ディスプレイがケースにつくなどいろいろなリークが出ていたが、見た目は前作のAirPods Pro 2とあまり変わっていない。だから、前作と違いが分からず買うべきかどうか迷ってるAppleユーザーは多いと思う。そんな人たちに向けて、たくさんのワイヤレスイヤホンを使ってきた俺が手を差し伸べたい。
ということで「AirPods Pro 3」のレビューをしていくからワイヤレスイヤホン選びの参考にしてほしい。
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そもそも4万円のイヤホンはマニア

4万円のワイヤレスイヤホンは基本的にはマニアが買うような値段。ワイヤレスイヤホンの4万円という値段は、各社のフラグシップに当たることが多い。例えば、SONYのフラグシップイヤホンのWF-1000XM5は39,850だし、JBLのフラグシップイヤホンも42900円。こういったイヤホンを買う人は基本的にマニア。
だから、AppleのフラグシップモデルのAirPods Pro3もマニアが買うようなレベルの値段だと思ってほしい。
ただ、そんなイヤホンをポンポン買わせることができるAppleはさすがといえる。
イヤホンを買おうと思っている人で、こだわりが無ければ1万5000円くらいを目安に買うことをおすすめする。
AirPods Pro3の特徴

気を取り直して、まずはAirPods Pro3の特徴から解説する。特徴は下記。
- 前作より2倍強くなったノイズキャンセリング
- 超自然な外音取り込み
- 前作より2時間長くなったバッテリー
- タッチコントロール搭載
- 心拍数センサー搭載
- イヤーチップがフォームタイプになった
AirPods Pro 3の主な強みは圧倒的なノイズキャンセリングと外音取り込み。前作もこのあたりが業界トップクラスではあったんだけど、とくにノイズキャンセリングは一段と進化した。このあたりが他イヤホンとの違い。
強みを上記で言ったけど、結局はApple製品とのシームレスな接続が一番の強みではある。
【スペック】AirPods Pro 3のカタログ値

項目 | AirPods Pro 3 | AirPods Pro 2 |
---|---|---|
チップ | H2チップ U2チップ | H2チップ |
ノイズキャンセリング | 〇 前作より2倍の強さ | 〇 |
外音取り込み | 〇 | 〇 |
会話感知 | 〇 | 〇 |
空間オーディオ | 〇 | 〇 |
ロスレスオーディオ | × | × |
心拍センサー | 〇 | × |
ヒアリングチェック | 〇 | 〇 |
操作 | 感圧センサー タッチコントロール | 感圧センサー タッチコントロール |
再生時間 イヤホン本体 | 8時間 | 6時間 |
再生時間 充電ケース込み | 24時間 | 20時間 |
充電ケース | 探す機能用スピーカー Magsafe対応 ストラップループ Qi対応 | 探す機能用スピーカー ストラップループ Qi対応 |
防水防塵 | IP57 | IP54 |
価格(税込み) | 39,800円 | 39,800円 |
基本的なスペックはほとんど同じ。ノイズキャンセリングや外音取り込みなどといった機能は搭載。大きく違うのは、心拍センサーが搭載されたことと、U2チップがケースに搭載されたことで、探す機能の範囲が前作より1.5倍広い範囲になったこと。
発売前はチップ性能が変わっていないからそこまでの進化は無いと思われていたけど、ノイズキャンセリングや音質は順当に進化している印象。
【重量】イヤホン本体5.5g、ケース44g


イヤホン本体は片方で5.5gでケースは44gだからかなり軽い。ポケットに入れていても全く邪魔にならない重量だと思う。
【音質】前作よりも良くはなっているが、良くも悪くも普通

前作よりも中高音域が良くなってるし、イヤーチップがフォームタイプになったことで低音も強くなっている。とはいえ、前作と比べれば良くなっているという印象で、4万円のワイヤレスイヤホンとしては普通だし、見劣りはする。
音はフラットでドンシャリとかではないから聞き疲れはしないが、音楽を聴いていてもテンションが上がるような音質ではない。4万円は先に話した通り、マニアが買うような値段帯だから音質には期待してしまうが、普通でうーんと思ってしまう。
この音質で2万円台とかならありなんだけど、4万円だと他メーカーのワイヤレスイヤホンの音質が良すぎるから、満足感は低い。
音質で選ぶイヤホンではないのは分かってるけど、もうちょっと頑張ってほしい。
【ノイズキャンセリング】危ないくらい強い

前作より2倍強くなったらしい。2倍も強くなったのかは分からないが、確かにめちゃくちゃ強くなってる。自分の耳に合ったイヤーチップにしたら、外の音がめちゃくちゃ消える。正直危ないくらい強い。ノイズキャンセリングONで音楽を聴いていたら、電車の走行音や車内や駅のアナウンスは全く聞こえない。
ノイズキャンセリング自体の性能も上がっていると思うが、フォームタイプのイヤーチップになったことで遮音性もあがったことがかなり大きいと思う。
一人の世界に浸れるのはめちゃくちゃいい部分ではあるんだけど、外で使うには危なすぎる。車の走行はほぼ聞こえないし、足音や話し声も聞こえないから、防犯上も良くないと思う。何事もほどほどがやっぱり良い。
対策としては、イヤーチップを一つサイズ下げる。もしくは、これから出てくるであろうAirPods Pro 3用の社外イヤーチップに変えるなどになると思う。あとは、外ではノイズキャンセリングを使わないとか。
とはいえ、一人の世界に浸ってコンテンツを楽しめることは確かだから、飛行機などには良いかもしれない。
そして、ノイズキャンセリング特有の圧迫感はかなり強め。圧迫感が苦手な人は前作を買ったほうが良いかも。
【外音取り込み】前作と同様で優秀

外音取り込みに関しては、ワイヤレスイヤホンで一番良い。これは前作も同様なんだけど、マジでつけているのを忘れるくらいに綺麗。外音取り込みはAirPods Proの独り勝ち状態。
補聴器的な使い方もできるらしい。それが納得できるくらい綺麗。ノイズキャンセリングが強すぎて危ないから、外では外音取り込みで使うことをおすすめする。
【イヤーチップ】フォームタイプで5つのサイズ同梱

イヤーチップは今までのシリコンタイプからフォームタイプに変更。フォームタイプはかなり遮音性が高くなり低音の迫力が増す。フィット感は良くなるが、圧迫感が強くなり人によっては苦手という人もいる。使ってみたけど、フォームタイプにありがちな耳がかゆくなることは全くなかった。
サイズは「XXS、XS、S、M、L」の5つのサイズが同梱している。イヤホンに最初からついているのはM。俺はLが一番良かった。
フォームタイプにするのは今のワイヤレスイヤホンの流行り。どれもこれもフラグシップイヤホンはフォームタイプになっていく。
イヤーチップ外しにくい

普通のイヤーチップと違い、めちゃくちゃ外しにくい。独自の規格でしっかりはまってるから耳から外した時にイヤーチップが取れるようなことは無いけど、イヤーチップを取り換えるときにイヤーチップが裂けるんじゃないかと思うくらい固い。
取り外しには注意が必要。
【マイク品質】超優秀
AirPods Pro3のマイク品質はめちゃくちゃ良い。ただ、JBL Tour Pro3と比べてみたんだけど、JBL Tour Pro3のマイク品質ってこんなに良かったっけ?となった。
【ケース】かなりコンパクトで良い




かなり小さくコンパクト。ポケットに入れても膨らみは小さい
【操作性】相変わらず感圧センサーは良いし、タッチコントロールも素晴らしい

イヤホンのへこんでる部分をつまむことで、ノイズキャンセリングなどのモードを変更したり音楽の再生・停止などができるのは前作と一緒。今作もへこんでる部分スワイプすると音量を変更できる。
上にスワイプすると音量が上がり、下にスワイプすると音量が下がる。瞬時に音量を変えられるし、直感的だから素晴らしい。
この辺の完成度はさすがAppleだなと思う。
【心拍センサー】イヤホンには必要ない

ヘルスケアから心拍数を見れるんだけど、全く使わない。スマートウォッチみたいに瞬時に確認することができないから。とはいえ、測ることはできるからスマートウォッチなどを持っていない人にはいいのかもしれない。
ただ、心拍数を測るのは他メーカーも以前やっていたが、使われることがあまりないと分かったのか、廃止される流れが多かった。
そういう理由で全くいらない機能だなと俺は思う。多分スマートウォッチのほうが精度良いだろうしね。
【再生時間】連続再生時間は伸びたが、ケース込みの再生時間は減った

イヤホン本体の再生時間は前作の6時間から今作は8時間に伸びたが、ケース込みの時間が前作の30時間から今作は24時間に少なくなった。今作は装着した状態でより長く使えるような仕様に舵を切った。
ただ、連続で8時間もイヤホンを付けてることのほうが少ないから、ケース込みの時間を減らされたのは普通に残念。
ってか心拍センサーとかいらないからこういったところを進化してほしい。マジで。
AirPods Pro 3の良い点

- ノイズキャンセリング強い
- 外音取り込みが素晴らしい
- 装着感が良い
- 操作性が良い
上記が俺が感じた良い点。操作性は前作通りよくて、ノイズキャンセリングも強いから機能性は素晴らしい。ただ、前作から進化しているところがほぼノイズキャンセリング以外あまりないのが残念。
AirPods Pro 3の残念な点

- 音質が値段の割に普通
- ロスレスに非対応
- ケース込みの再生時間が減った
上記が残念な点。
音質は普通に良いんだけど、4万円と考えると見劣りする。こだわりが無かったり、他のイヤホンを知らないと普通に良く感じるけど、他のイヤホンを知っている俺には物足りない。そして4万円もするから、そのくらいの値段を出せるなら他のイヤホンのほうが幸せになれる。
そして、相変わらず頑なにロスレスオーディオに対応しない。AirPods MAXは有線接続ならロスレスオーディオに対応したんだけど、AirPods Pro 3はそういった機能はない。俺がメインで使ってるJBL Tour Pro3はケースを再生機器に有線で接続するとロスレスオーディオになる機能がある。4万円のイヤホンというのはこういう機能がついたりしている値段帯だから、それを知っている俺はそういった機能が無いAirPods Pro 3は満足度が低く感じる。
4万円あれば選択肢はいっぱいあるし、俺なら別のイヤホンを買う

例えば、俺がメインで使っているJBL Tour Pro3は今は36000円で買える。ノイズキャンセリングもAirPods Pro 3ほどではないがかなり強力。音質は、AirPods Pro 3とは雲泥の差。JBL特有のスピーカーで聞いているような音質でめちゃくちゃ素晴らしい。iPhoneに接続して使ってもAirPods Pro 3よりも音質は良かった。
そして、マルチポイント接続といって複数台と接続してシームレスに切り替えする機能もある。例えば、AppleユーザーでもiPad+iPhone+Macでシームレスに切り替えできるし、iPhone+WindowsPCのような組み合わせもできる。
しかもこいつのすごいところが、このケースとiPhoneを有線接続するとハイレゾ+超低遅延で使うことができる。ハイレゾコーデック未対応のiPhoneにはめちゃくちゃ相性の良い機能。
こういったように4万円あれば、いろいろなメーカーのハイエンドモデルが購入できる。SONYもTechnicsもBOSEも選ぶことができる。
そして俺が一番おすすめしにくい部分は、AirPods Pro 3は良くも悪くもAppleのみでしかほぼ使えない。他メーカーのワイヤレスイヤホンならApple製品でも使えるし、他社製メーカーでも使えるから利便性が高い。
これを読んでくれてる人にはそういった選択肢もあるよってことを知ってほしい。知った上でイヤホンを選んでほしい。
下記でおすすめのイヤホンをピックアップした。
まとめ:機能性は圧巻の完成度

- ノイズキャンセリング最強
- 外音取り込み超自然
- マイク品質も良い
- 操作性すばらしい
音質が他の4万円のイヤホンと比べると見劣りするとかいったけど、AirPods Pro 3の完成度はめちゃくちゃ素晴らしい。ノイズキャンセリングも強いし、外音取り込みもマイク品質も良い。装着感もよくて操作性も良い。だから素晴らしいイヤホンではある。
ただ、4万円出せば他メーカーのイヤホンも機能性も素晴らしいし、音質も良いというものもそこそこあるから、Apple製品に強い思い入れが無いかぎり別のイヤホンでも良いと思う。音楽好きは別のイヤホンをおすすめする。俺は4万円だすならiPhoneを使っていても別メーカーのイヤホンを買う。
とはいえ、完成度は高いから買って後悔はしないと思う。
ついでにこれもいっとく?
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